「私はね、さやかさん」
「はい」
「家を、神社にしたいの」
「え」
「家が一番のパワースポットでなきゃ」
「まあ、はい、そうなると、最高ですね」
この空気がピンと張ったような、ああ、確かに神社的な空気感がある。
「でも、ひでこさんだからでしょう、パワースポットになるのは。こんな見晴らしのいい素晴らしいマンションなんだから」
「誰だって、自宅はそうなるわよ」
「いや〜」
「やるかやらないか、だけ」
「ひでこさん、うちはね、とても素敵なんです。大好き」
「いいわね」
「なんだけど、引き出しや冷蔵庫、クローゼットは、もー、隠してますよね、隠してる」
「それはさ、自分自身だから」
「どういうことですか?」
「家は自分自身だから、さやかさんは自分を隠してるわけよ」