正しいことを主張しても、批判的なメッセージがたくさん書き込まれると、正論を主張する気が失せてしまいます。まさにそれが攻撃する人の目的です(写真提供:photoAC)

新型コロナウイルスの感染拡大で、生活の在り方が大きく変わりました。オンライン上で人とのつながりをもつ人も増えましたが、仲間を見つけたいと思って始めたのに、傷ついてしまうことも。特にSNSは諸刃の剣です。人を攻撃することもあれば、逆に世の中を正しい方向に導くこともあります。私たちはどのようにSNSと関わるべきでしょうか。大ベストセラー『嫌われる勇気』(古賀史健氏との共著)の著者・岸見先生が教える「SNSとの正しい関わりかた」とは

SNSでは正論を言わせまいと、必要以上に攻撃している

孤独を恐れ多数派の側につきたい人は、インターネット上でも批判的なコメントを書き込みます。そのような人たちは大勢いるように見えますが、しかし実際には何ら声を上げない人たちの方が多いのです。

メッセージを読んで賛成、同意する人がコメントを書き込むことはあまりありません。本当は書き込みをする人を支持する人も多いですが、あまり目立たないのです。そのため、批判的なメッセージが溢れるようになると、SNSから遠ざかりたくなります。

正しいことを主張しても、批判的なメッセージがたくさん書き込まれると、正論を主張する気が失せてしまいます。まさにそれが攻撃する人の目的です。誰かを叩くような書き込みによって、本人はもとより、悪質な書き込みを目撃した他の人までもが「こんな目に遭っては敵わない」と思って正論の主張をやめてしまうのです。

しかし、SNSにアクセスしなくなることのデメリットは大きいです。SNSの問題点は多々あるにせよ、この世で起きていることがおかしいと思った時に、それに対抗する有力な手段がSNSだからです。