不安な時こそ、根拠のない噂が広がっていく

噂は自然発生的で、大抵誰が言い出したのかわかりません。多くの場合、根拠のない虚報、誤報ですが、そのような噂が人を傷つけ、人を殺すことになります。

なぜこのような噂が広まるのか。

「あらゆる噂の根源が不安であるというのは真理を含んでいる。ひとは自己の不安から噂を作り、受取り、また伝える」 (前掲書)

噂は今の時代はインターネットで瞬時に伝播します。真実かどうかという検証もしないまま、不安な人はSNSで見かけたメッセージに「いいね」をつけ、リツイートします。

「不安は人間を焦燥せしめ、そして焦燥は人間を衝動的ならしめる。そのとき人間は如何なる非合理的なものにも容易に身を委まかせ得るのである。嘗て多くの独裁者は、人民を先まず不安と恐怖とに陥れることによって彼等を自己の意のままに動かそうとしたのである」 (「時局と学生」『三木清全集』第十五巻所収)

不安な人は焦燥し、衝動的になります。常は冷静な人でも、不安に駆られ衝動的な行動に走ります。独裁者は人民を不安と恐怖に陥れることによって、意のままに動かそうとしたと三木はいっていますが、独裁者は前面に出てこなくても人を動かすことができるのです。