注意の仕方で子どもの思考力が変わる
子どもに命令口調で「〜しなさい」「〜してはダメ」というだけではなく、言うことを聞かないときに叩く親もいるようですが、体罰は絶対にやめてください。叩いた親は忘れていても、叩かれた子どもの心には大きな傷が残り、大人になっても忘れないという話はよく聞きます。
子どもは親に世話をしてもらわないと生きていけません。立場としては圧倒的に親が強い。そのせいか、「言うことを聞きなさい!」と上から目線で命令する親は少なくないようです。でも、子どもは親の所有物ではないし、体が小さいだけで大人と同じ感情を持っていますから、他人に言わないような暴言を、わが子だから言ってもいいなんてことはありません。子どもを一人の人間として尊重し、丁寧に話すことが大切です。
なかには、子どもが言うことを聞かないときに、「お父さんに叱ってもらうよ」「先生に言うからね」などと言っている方もいるかと思います。でも、これらの言葉は脅し文句にしかならないので、当然子どもは納得できません。子どもが言うことを聞かないからといって、叱ることを誰かに丸投げするのはよくありませんね。
怖がらせて言うことを聞かせていると、恐怖のため子どもは思考が停止し、心のなかに不満が少しずつたまっていきます。そして、成長したある日突然、不満が爆発するかもしれません。そう考えると、上から目線で命令するのではなく、一人の人間として丁寧に説明することの大切さがわかると思います。
何度言っても子どもが納得せず、意見が対立して言うことを聞かないときに、「お父さんに叱ってもらうよ」はNGですが、「お父さんの意見も聞いてみようか」という声かけはいいと思います。
お父さんの意見も聞くことによって、「お父さんもお母さんと同じ意見なんだ」と納得することもあれば、「お父さんのような考え方もあるんだ」と新たな発見をすることもあるでしょう。
脅して言うことを聞かせるのではなく、子どもに考えさせて、自分の意見を言わせることは、思考力、表現力の土台になります。
※本稿は、『子どものやる気がどんどん上がる魔法の声かけ 3男1女東大理三合格の母が12歳までにかけた言葉』(著:佐藤 亮子/中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『子どものやる気がどんどん上がる魔法の声かけ 3男1女東大理三合格の母が12歳までにかけた言葉』(著:佐藤 亮子/中央公論新社)
〈母の言葉は、子どもにとって最高のエールです。〉
3男1女を東大理三に導いた母は、子どもたちにどんな言葉をかけていたのでしょうか。
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