2種類のストレッチを使い分ける

心臓、筋肉、関節を運動に適した状態にするのがウォーミングアップです。この目的に適しているのは、軽いジョギングやラジオ体操のような運動、そして動的なストレッチです。

ストレッチには、大きく分けて動的(ダイナミック)ストレッチと、静的(スタティック)ストレッチの2種類があります。動的ストレッチとは、同じ動きを一定回数繰り返して、筋肉や関節に適度な刺激を与える動きのこと。

肩甲骨や股関節を回す動作が動的ストレッチにあたります。静的ストレッチとは、一定時間同じ姿勢を保って、静止した状態で筋肉を伸ばす運動のこと。前屈や開脚といった動作は静的ストレッチです。体の柔軟性の維持・向上に効果があるのはもちろん、運動後に硬く縮こまった筋肉を伸ばすためにも行います。

競技の試合会場や、マラソン大会などに行くと、準備運動として静的ストレッチをしている選手の姿を見かけることがあります。静的ストレッチでは筋温はさほど上がりませんし、呼吸や心拍数は落ち着いた状態になります。その状態から一気に激しい運動を行うと、良いパフォーマンスができないどころか、場合によってはケガのリスクが高くなってしまいます。

ストレッチにまつわるよくある誤解が、腱や靭帯をグイグイと伸ばそうとするものです。"アキレス腱伸ばし"という言葉があるぐらい、悪い意味で浸透してしまっています。腱は骨と筋肉を結びつけ、靭帯は骨と骨を繋いでいるもの。関節を安定させる線維の束で、筋肉のように伸び縮みしません。靭帯が伸びるというのは、捻挫ですからね。