「バイトをお笑いに変えていて凄い」
久しぶりに会った高橋さんは、
「おー、本坊! どうなん最近?」
と聞いてくれます。僕は芸人の仕事がないこと、毎日工事現場で働いていることなど、愚痴がとまりませんでした。
高橋さんはちゃちゃを入れるわけでもなく、30分もの間、黙って聞いてくれていました。そして最後に、
「また一緒にできたらええなあ」
と言って会議室に入っていきました。愚痴を黙ってうんうん聞いてくれたことに救われた気がしたのと同時に、もう二度と会えないかもとも思いました。
しかし事態は好転というか悪あがきというか、前か後ろかわからないが動き出します。千鳥のオールナイトライブの怪談コーナーで、建築現場の怖い話をすると、めちゃくちゃウケたのです。そして半年もしないうちに高橋さんと共演することができました。
『芸人報道』という番組で、雨上がりさん、サバンナの高橋さん、フットボールアワーの後藤さん、カラテカの入江さんがレギュラーメンバーで、次長課長の河本さんがゲスト出演のときに、とろサーモンの村田と僕のドキュメンタリーを紹介してくれて、出演できたのです。
この収録のときの先輩らの援護射撃はえげつなかったです。お笑いって優しいねや。いつもいじられ役の入江さんまで僕にフリをくれたときには、ブルータスくらい「お前もか!」と思いました。
後日、入江さんが、
「本坊君はバイトをバイトで終わらせず、バイトをお笑いに変えていて凄い」
と言っていたと又聞きで知りました。又聞きで褒められるのが一番嬉しい。収録後、二本目の収録を控えていたレギュラーの松ちゃん(松本康太)が駆け寄ってきて、
「本坊さん、売れましたね! プロデューサーが本坊さんのことを色々聞いてきましたよ」
と言ってくれました。やったー。とんとん拍子に二週間後にはソラシド特集も組んでもらいました。よっしゃー! そして番組は終わってしまいます。