愛犬のひじき(写真提供:森さん)

絶大なアニマルセラピー効果

父の近所に住む義妹は、「ひじき」という名前のミニチュアピンシャーを飼っている。動物好きな父のために、夕食後にひじきを連れてきてくれるようになった。父は夜が待ち遠しくて仕方がない様子だ。義妹は、小さなボールに刻み野菜を入れて父に渡す。ひじきは、つぶらな瞳で父を見つめながら、「よし!」と言ってもらえるまで、伏せをして待っている。

少量だから、あっという間にボールは空になる。父は野菜をやったのをすぐ忘れてしまい、毎回義妹に聞く。

「レタスをやっていいか?」

ひじきは会話の内容がわかるらしく、喜んで父の椅子のまわり飛び跳ねている。小型犬だから幼く見えるが、ひじきは11歳とすでに高齢だ。義妹は彼の健康管理に非常に気をつけている。

義妹が「今日はもう大根を食べさせましたからね。レタスは明日にしましょう」と父を諭すと、父は不服そうに、かつ、ひじきに聞こえるように大きな声で言う。

「おまえの母さん厳しいから、もうダメだと」