理想を追い求める人が現実を変えていく
結局マミコは「やっぱり企画開発部で働きたい」と元上司に申し出る。
その時、上司からは渋られるのだが、マミコはひるまず、「私図々しいんです」と言い放つのだ。
常に遠慮してばかりで、自分の本音を押さえつけていたマミコが、殻を脱いで自分の意思を主張する姿に、胸がスッとする。
マミコはさらに続ける。
「家庭と仕事の両立って、優秀な女性だけじゃなくて、私みたいな普通な社員ができてこそじゃないですか。この中の男性社員で、家庭と仕事を両立できている人って、何人いますか」
子育てしながらキャリアを変わらず追い続けられるのは、仕事においても優秀な人、というイメージがある。しかし、子どもがいようがいまいが、優秀であろうがなかろうが、働く人にはみなやりがいを求めたり、制度を使ったりする権利がある。そんな当たり前のことに気付かされたシーンだった。
そして、その後の峰岸の「図々しくならないと権利が守られないなんておかしいよね」という言葉にはさらにはっとさせらるし、胸にささる。
マミコの様子を見た麻理鈴が、恋愛も仕事も両方手に入れたい、それってやっぱり、わがままなのか、と峰岸に相談するシーンも印象的がある。
その時峰岸は麻理鈴は峰岸をまっすぐ見て言うのだ。
「あなたは他の人とは違う、欲しいものは全部手にいれなさい」と。
あなたが他の人とは違う、というのは、あなたは開拓者だ、という意味もあると私は受け取った。
変化をもたらす人、ロールモデルとなる人は、みんなが諦めてきたこと、みんなが無理だと言うことにも挑戦するし諦めない。きっと反発も無理解もある。
でも一つが欲しければ、もう一つは諦めなきゃいけないなんて、誰が決めた。
誰がなんと言おうと、自分の理想は譲ってはいけない。そうやって理想を追い求めていく人がいることで、理不尽な現実は少しずつ変わっていくのだと思う。