「お休みしていた1年間は、自分にとって5年、10年にも感じられる長さだったので、最初に撮影現場に入った時は緊張したし、怖さもありました」(撮影:宅間國博)
〈6月15日発売の『婦人公論』7月号から記事を先出し!〉
2020年10月に自身の運転する車でバイクとの接触事故を起こし、道路交通法違反などの疑いで逮捕され(翌年不起訴処分)、約1年の自粛生活を送った伊藤健太郎さん。まさに人気絶頂の最中での出来事だった。そんな伊藤さんが公開中の映画『冬薔薇(ふゆそうび)』でスクリーンに帰ってきた。事故からの日々と、これからを語る。
(撮影=宅間國博 構成=上田恵子 ヘアメイク=島徹郎 スタイリング=釘宮一彰)

芝居の現場にもう一度立てた

公開中の映画『冬薔薇』は2021年の11月に撮影しました。
その前に『SOULFUL SOUL』という舞台に立たせていただきましたが、映像の仕事をするのはほぼ1年ぶりです。

お休みしていた1年間は、自分にとって5年、10年にも感じられる長さだったので、最初に撮影現場に入った時は緊張したし、怖さもありました。俺、どうやって現場に入っていたっけ……とかいろいろ考えてしまって。

でも久々に現場に立ってみたら、喜びのほうが大きかった。芝居をする場にもう一度立てたこと、作品に携わり、自分と仕事してくださった方々には感謝しかありません。

正直、こんなに早いタイミングで映画の仕事ができるとは思っていませんでした。映画の配給会社からお話をいただいた時は、もちろんすごく嬉しかったのですが、実現しないのではと、どこかで諦めていたんです。あの事故以来、お声がけいただいても、立ち消えになってしまうことが多かったので……。

僕がしてしまったことや、それをめぐる世間の声やイメージを考えれば当然です。声をかけていただけるだけでも十分ありがたかった。だから今回、本当に撮影に入れると決まった時は、言葉では表現しがたいくらい嬉しかったです。