まさかの検査通過
次に長男から電話が来たのは、父が高齢者講習の受講のために再び会場に入ってからだった。認知機能検査を終えて会場の外に出てきた父と話した内容を、電話で私に教えてくれた。
「検査結果が記載されている書類を見せてもらったよ。おじいちゃんは、60点だったって」
「その点数でOKなの?」
「うん。俺は、検査の担当者に確認したよ。76点以上は問題なしで、2時間の高齢者講習。49点以上76点未満は、記憶力と判断力は少し弱くなっているので、3時間講習を受けるんだって」(令和4年5月12日まではこの基準)
医師に認知症と診断されている父が、認知機能検査をパスできるわけないと思っていた。それに、最近父は車が欲しいと言わなくなった。運転を諦めたのだろうと安心していたが、結果的に裏切られてしまった。
それにしても、3時間も講習を受けられるエネルギーはどこから湧いてくるのだろう。今日は父とちゃんと向き合って、運転免許について話し合わなければならない。