この記事の目次
「健康格差」がこれからの社会の特徴
今後、訪れるであろう超長寿社会は、少子化も相まって、高齢者が社会のマジョリティとなる社会です。たとえば、2060年には、日本国民の約2,5人に1人が65歳以上の高齢者になると予測されています。
これを、年寄りばかりの「単一的」な社会とイメージするかもしれませんが、実際は、いまよりもより多様性に満ちた社会となるはずです。高齢者が増えるということは、それ以外の年代の人たちが多い社会と比べて、多様なものにならざるを得ないのです。
たとえば、普通の小学生を例にみてみましょう。
一般的な小学校であれば、超優等生と超劣等生とのIQの差があったとしても、せいぜい80から120くらいの幅に収まるでしょう。50メートル走をやっても、速い子で6秒とか7秒、遅い子でも、15秒あれば走れるでしょう。それぞれの能力の差といっても、高齢者でなければ、その程度のものなのです。
しかし、高齢者の現実は、80歳で認知症が進んで会話がままならない人がいる一方で、それなりにこれまでの仕事や知的な活動を続けられる人がいたり、ノーベル賞をもらって立派なスピーチができる人さえいます。
寝たきりになってしまったり、日常の介助の必要な人もいますが、毎日、散歩ができたり、水泳やゴルフなどスポーツを楽しめる80歳の人もいます。
つまり、高齢者のほうが、身体能力や脳機能において、個人差が格段に広がっているのです。
その高齢者が大多数となっていくこれからの社会は、まさに多様性に満ちた社会となるはずです。このような「健康格差」が生じるということが、これからの社会の特徴となります。