仲代さんは俳優という呼び方を好まれない役者、とお見受けした。そのこだわりは、なぜなのか。
――だって自分以外の何かになって、役によって変わっていかなきゃいけないんですから。だから役者なんですよ。僕は俳優って言葉は使いたくない。
イプセンの名文句に、世に役者ほど嘘つきはいない、っていうのがあります。思えば罪なですね、役者って。
お客は喜んで騙されに来て、心地よく騙されて帰るんだからそれでいいんだと思います。
――ああ、なるほどね。これからも騙し続けられるだけ騙しましょう。
仲代さんは俳優という呼び方を好まれない役者、とお見受けした。そのこだわりは、なぜなのか。
――だって自分以外の何かになって、役によって変わっていかなきゃいけないんですから。だから役者なんですよ。僕は俳優って言葉は使いたくない。
イプセンの名文句に、世に役者ほど嘘つきはいない、っていうのがあります。思えば罪なですね、役者って。
お客は喜んで騙されに来て、心地よく騙されて帰るんだからそれでいいんだと思います。
――ああ、なるほどね。これからも騙し続けられるだけ騙しましょう。
1932年東京生まれ。52年、俳優座演劇研究所付属俳優養成所入所。『どん底』などの舞台で芸術選奨文部大臣賞のほか数々の賞を受賞。日本映画史に残るさまざまな作品に出演。75年より、妻・宮崎恭子さんと無名塾を主宰。2015年に文化勲章を受章。9月4日から10月10日まで石川県・能登演劇堂にて『仲代達矢役者七十周年記念作品いのちぼうにふろう物語』を上演予定
雑誌記者を経て、エッセイストに。1981年『日本の鶯――堀口大學聞書き』で日本エッセイスト・クラブ賞、角川短歌愛読者賞受賞。96年『花の脇役』で講談社エッセイ賞、2000年『芸づくし忠臣蔵』で読売文学賞、芸術選奨文部大臣賞を受賞。『勘三郎伝説』『客席から見染めたひと』ほか著書多数。最新刊『銀座で逢ったひと』(小社刊)が好評発売中