小さな住まいだからこそ自宅で夫の介護も

仮住まいで7ヵ月間、段ボールに囲まれた日々を過ごした後、ようやくこのマンションに。ところが、この家に住み替えてから約2年後の2017年に、夫がパーキンソン病を発症。全身の筋肉がこわばって、手足が動かしにくくなる病気です。

夫は次第に歩行が不自由になっていき、バーンという音に驚いて駆けつけてみたら、洋服掛けにつまずいて転び、起き上がれずにもがいていたことも。

男性の体って重いでしょう。私自身がこの年の年末に脊柱管狭窄症の手術を受けたばかりで、力任せに夫の体を起こすことはできません。リハビリで理学療法士さんが教えてくれたやり方を真似して、どうにか起こしたこともあったほどです。

また、夫はかなり強い薬を飲んでいたので、副作用で幻覚が見えることもあり、車いすに乗って夜中に家から抜け出してしまったことがありました。

いつもなら、私はわずかな物音でも目が覚めるのに、その日は寝入りばなで気がつかなかった。で、ふと目を覚ましたら、夫がいない! 「どうしよう?」と大慌てで娘に電話をしていたところ、見知らぬ男性が夫をうちまで連れてきてくださって。

ほっとしたのも束の間、夫の額からは血が流れている。マンションの前が坂になっているので、車いすから投げ出されてしまったのでしょう。あのときは、本当に心臓が止まりそうでした。