若者を導くことができるのは年老いたウマ
「老馬の智、用うべし」という言葉がある。
中国の故事に、山中で道に迷った管仲が、老馬に先導させよ、と老馬を解き放ち、その後をついていったところ、正しい道に戻ることができた。
老馬は経験が豊かなことから、山中でも道を見つけ出せたのである。そのことから、年老いて年功を積んだ老人の英知は価値があるという意味の言葉である。
年老いたウマは、人を導く力がある。
若きプリンスとプリンセスを導くのは、老いたウマこそがふさわしいのだ。
※本稿は、『生き物が老いるということ――死と長寿の進化論』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
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どうして人間以外の生き物は若返ろうとしないのだろう?
イネにとって老いはまさに米を実らせる、もっとも輝きを持つステージである。人間はどうして実りに目をむけず、いつまでも青々としていようとするのか。実は老いは生物が進化の歴史の中で磨いてきた戦略なのだ。次世代へと命をつなぎながら、私たちの体は老いていくのである。人類はけっして強い生物ではないが、助け合い、そして年寄りの知恵を活かすことによって「長生き」を手に入れたのだ。老化という最強戦略の秘密に迫る。
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