父の思いを引き継いでいくのが使命

私が17歳の頃に両親は離婚しましたが、それから14年近く経った1998年に、父と一緒に中国で1ヵ月ほど過ごしたことがありました。父はハルピンからの引き揚げ者で、同級生を集めて中国ツアーを組み、私を誘ってくれたのです。ご一緒した方々もご家族を同伴なさっていて、みなさん1家族一部屋。うちも皆さんと同じようにすることになったのですが、長いあいだ離れて暮らしていたので、父と同じ部屋で寝泊まりするのはちょっと戸惑いましたね。でも父は「緊張することなんかないじゃない、家族なんだから」って笑ってました。

中国旅行は父のルーツを巡る旅でした。父が流暢な中国語で現地の人と語り合っているのを目の当たりにして、ここが父の故郷なのだと実感するのと同時に、日本が敗戦国となって暮らしが一変する中を生き延びてきた父の過酷な人生を垣間見た気がしました。

父はエンターテイナーとしての華やかな姿の裏に、「戦争や、引揚げる過程、敗戦後の過酷な暮らしの中で命を落とされた方々に恥ずかしくない生き方をしなければいけない」という信念を秘めた、自分に厳しい人でした。私などがこんなことを言うのはおこがましいのですけれど、「戦争の恐ろしさが風化してしまうのを止めたい」という父の思いを引き継いでいくのが私たち世代の使命なのかなと考えています。何ができるのかは模索中ですが、もっと歴史的な背景を学び、私にできることがあるならやっていくつもりです。

 

中国旅行は父のルーツを巡る旅(写真提供:児島未散さん)