放送作家・コラムニストとして、数多くの著名人にインタビューし、コメンテーターとして活躍している山田美保子さん。小さいころは引っ込み思案で話すことも苦手だったそう。そんな山田さんを変えたのは何だったのか。さまざまな出会いや、出会った人のアドバイスを通じて、今の自分があるという山田さんが、自分が楽になるコミュニケーション術を紹介する新連載。第14回は「別れる力」です。
「別れる力」に長けている人、そうではない人
「助けてあげられなくて、ごめんね」
8年前、虹の橋を渡って行った愛犬ピンに対し、担当の獣医師さんがかけてくれた言葉です。
いい悪いではなく、世の中には「別れる力」に長けている人と、そうではない人がいるように思います。私は後者。年齢を重ねているわりには、身近な誰かを看取った経験に乏しいのです。参列する側になった際も、喪主やご遺族の方にかける言葉が見つけられずに会釈だけで帰路についてしまうことも…。
最大の理由として、私は両親を含め、家族がとても健康で長生きであることが挙げられます。それは幸せなことですけれど、そのせいで身に付いていないことや、できていない覚悟というのが本当に多いのです。
そんな私に、死をもってすべてを教えてくれたのは8年前に旅立った愛犬・ピンでした。10年以上にわたる不妊治療の後、迎えたミニチュアピンシャー。私にとっては生まれて初めて飼う犬で、初めて身近に感じた《生命》でもありました。