最期の日のこと

あれだけ家に居るのが大好きだったピンに、抗がん剤治療を受けさせるため、どれだけ通院、入院をさせてしまったか。検査に次ぐ検査で、数値が少しでも悪いと、獣医師に言われるままに長期入院をさせてしまったこと。毎日、必ず1時間ずつ面会には行っていましたが、ピンはどれだけ淋しい想いをしていたのかと思うと、今も胸がしめつけられます。ピンはそれから1年4ヵ月も頑張ってくれました。

(写真提供◎山田さん)

最期の日のことは今でもハッキリ覚えています。ピンは前日、白血球の数が激減し、輸血をしてもらい、また入院となりました。それまでも何度も入退院を繰り返していましたし、幸いにも、それまで食欲旺盛だったピンは前日の朝、いつものドッグフードに全く口をつけられませんでした。

その前夜から息をハァハァさせていて、犬を飼った経験がある夫は「ピン、死んじゃうのかな」と言っていました。が、私はそれでもピンは治ると信じていたのです。

病院に連れて行ったときも、ピンを見かねて他の飼い主さんが診察の順番を譲ってくれたほどでした。見る人が見れば、ピンは瀕死の状態だったのだと思います。

その日、後ろ髪を引かれながら私は帰宅。翌日午後、妹犬のココを連れ、夫とピンの面会に行きました。

担当の先生から「ステージ5です」との説明を受けても、まだどこかで治ると思っていた私。ですが、次の瞬間、「ピンちゃんが発作を起こしました」と獣看護師さんが待合室まで飛んできたのです。