写真提供◎山田さん 
放送作家・コラムニストとして、数多くの著名人にインタビューし、コメンテーターとして活躍している山田美保子さん。小さいころは引っ込み思案で話すことも苦手だったそう。そんな山田さんを変えたのは何だったのか。さまざまな出会いや、出会った人のアドバイスを通じて、今の自分があるという山田さんが、自分が楽になるコミュニケーション術を紹介する新連載。第15回は「忘れられない母の言葉」です。

『踊る!さんま御殿‼』の定番テーマ

「こんなにしてあげているのに」

幼い頃から現在進行形で反発し続けている私に対し、これまで母が何度も口にしてきた言葉です。

『踊る!さんま御殿‼』(日本テレビ系)開始当初から放送作家の一人として番組に関わっている私は、これまで何千本もの〈テーマ〉を考えてきました。エンディングで森富美アナウンサーが告知してくれる〈体験談〉です。

その定番に「××から言われて傷ついた一言」というのがあります。××は、「異性」だったり、「先輩」だったり、「後輩」だったり……。

近年、『~御殿‼』は、「親子SP」や「二世SP」などがキラーコンテンツということもあり、私はその度に、「母から言われて傷ついた一言」を自分でシミュレーションしています。そうそう、「親子SP」の定番テーマには、「親のせいで恥をかいたこと」「よその親が羨ましくなったこと」というのもあります。そんなときも私は、幼い頃から良くなかった母との関係を振り返ったものでした。

私は小学校受験をして大学までエスカレーター式で進める私学で16年間、過ごしました。父は歯科医でしたが、実兄が院長を務めるクリニックの〈通い〉の医師で、いわゆる開業医ではありませんでした。当時、父がどれぐらいのお給料をもらっていたのか知らなかったものの、私は「うちは、お金持ちだ」と思ったことは一度もありません。