恐怖となった授業参観

私の想いなどまったく察知してくれない男子は一人一人、母の様子を説明し始めました。なんの躊躇いもなく男子トイレに入って来たこと。男子が大勢いたにもかかわらず、個室で用をたし、男子が目を丸くしていることにも気づかず、笑顔で挨拶をして出て行ったこと……。

母には問い詰めもしませんでしたが、当時の母は、男子トイレと女子トイレが分かれていることさえも知らない〈箱入り娘〉だったのです。〈箱入り〉は良く言い過ぎですね。あまりにも出歩かないせいで、母は知らないことが多すぎました。

それ以来、授業参観は恐怖でした。引っ込み思案で担任の先生ともウマが合わず、他の科目の先生の前でも、指されると緊張がMAXとなり、本当にトンデモナイ回答をしてしまうことも多々。小学校時代の先生の多くは、そうした答えを大袈裟に茶化す傾向がありましたから、それをまた母親に直で見られているというのは地獄でした。

あまりにも〈褒めるところ〉がない娘に対し、母は帰宅後、「ちゃんと授業に付いていけてるの?」と聞いてきたこともあります。事実、小学校の高学年になって、私の成績はどんどん下がっていきました。