私が仕事に恵まれた背景
幼稚園時代は感じなかったのですが、小学校に入学し、周りの友人宅がワンランク上の生活水準であることに気づいた私は、知らないこと、経験していないこと、持っていないモノなどについて、知っているフリ、経験したフリ、持っているフリをしたものです。
ものすごくおとなしい子どもでしたから、積極的に嘘を吐いたわけではなく、あくまでもフリをしていました。お友達の家に遊びに行ったとき、初めて飲んだミルクセーキ、生クリームを泡立てて食べる苺、「Tops」のチョコレートケーキ。夏休みに行く軽井沢の別荘の話や、冬休みのスキー。ホテルで開催するお誕生会などなど……。
私が後にライターになり、東京の歴史やトレンドに詳しい者として仕事に恵まれてきた背景には、自身の経験ではなく、大金持ちの同級生の経験を間近で覗き見していたからに他なりません。
でも、子どもの頃は、そのメッキが母の言動により、何度も剝がされました。いまでも忘れられないのは、小学3年の授業参観日のことです。