歴史あるグランドセントラル駅で息子と

オトナの留学なんて…

それは、深夜のブレインストーミングによくある突拍子もない思いつきだった。だって、留学できるお金はないし、子連れの40代で留学なんて聞いたことがない。だけど、私はMy 本能寺の変を前に、本気でジタバタしたくなった。

ニューヨーク子連れ留学を思い立った私は、すぐにいろいろ調べ始めた。まず自己資金がないため助成金を探さねばならない。インターネットで「40代、留学、助成金、子連れ」と入れてみるが、ヒットするのは学生対象の奨学金ばかり。他に大人向けがあっても、「30歳女性が自分探しにパリへ」や、「ハワイに子どもと1週間“留学”」とかしか出てこない。

「そんな簡単にオトナの留学なんてみつからないよなあ」

調べすぎて疲れた私は、ケーキでも食べて帰ろうと早めに事務所を出た。東京生まれだが、出産を機に京都に移住した私は、その日、京都らしい一軒の町家カフェ「松之助」に入った。代官山に支店を出しているケーキ店だ。ケーキを頬張りながら、何気なく、置かれていた本をパラパラとめくった。その店の女性オーナーが書いた自伝本だった。