厳しくて、温かい父親のような監督

いま取り組んでいるお仕事は、7月11日にスタートするドラマ『ルパンの娘』です。私が演じるのは、代代泥棒を家業とする一家の娘・華。瀬戸康史さん演じる、代々警察一家の息子・和馬と、許されない恋に落ちるという役どころです。華は、普通に生きたいと願い、家業から遠ざかっていたのですが、愛する和馬を救うために泥棒スーツに身を包むと、泥棒一家の血が騒ぎ、泥棒に変身してしまいます。

この泥棒スーツを着ていると、スタジオで会った人に二度見、三度見されるんです。そうか、私はそんなにすごい格好をしているのか……って(笑)。でも、どんなセリフでもこれを着ていれば口にできちゃいますし、カッコつけたポーズも決められるんです。スーツに助けられていますね。

武内(英樹)監督は、私にとってはお父さんのような人です。というのは、15歳のときに『神様、もう少しだけ』というドラマでご一緒したんです。ここで、たくさんのことを教えていただきました。私にとってとても大切な作品ですし、衝撃的な役柄だったとも思います。でも、無我夢中だったからでしょうか、じつはあのときの記憶があまりなくて。役柄の難しさもよく理解しておらず、ただただ必死でした。

今回のドラマで再びご一緒させていただいたわけですが、なんだか恥ずかしくて、あまりしゃべれないんです。お父さんとずっと離れて暮らしていて久し振りに会ったりすると、こんな感じになるのでしょうか。監督もあまり話しかけてこないので、もしかしたら私と同じ気持ちなのかもしれません(笑)。撮影中は、監督に言われたことを「はい」と、素直にやっています。

このドラマ、泥棒一家と警察一家という対照的な二つの家族がしっかりと描かれていて、これも見どころです。それぞれの家族のメンバーのキャラがとても濃くて、顔合わせで座っているときから、両家の迫力がとにかくすごかったんです。それぞれの家族のルールというか正義みたいなものがあり、そのもとに一体感があるんですね。極端な設定だけど、家族っていいな、と思っていただけるのではないかと思います。