紅花は気高く特別感がある「すごい人」

日本を代表する紅花は人を魅了するものでもあり、その文化をこうしてドキュメンタリー作品という形に今、残せたことが素晴らしいと思っています。担い手の方々がいなくなったら続かなくなるのと同じで、文献だけだと想像力にも限りがありますよね。そこでやっぱり映像と、実際に紅花に携わっている方々の言葉で記録を残しておくのは、未来のためにもとても大切なことです。

少しでも『紅花の守人』のお手伝いができたことはとてもありがたいですし、紅花だけではなく、大切なものをずっと持続させていくことの情熱などを含めて、学ばせていただくことが多くかった。今回は、とてもいいチャンスをいただけましたね。

自分探しをしていて不安定だったタエ子ちゃんにとっても、ずっと受け継がれてきた揺るぎない紅花作りは、ものすごく鮮明に映ったはずだと今は思います。自分の意志を持って何をしていくのか、世の中はどう変わっていくのか。私もどうなるかわはわかりませんが、でも自分の足で歩いていく、ということに気づかせてくれる象徴としても、紅花の存在は大きかった。だから『紅花の守人』を観ると、みなさんも何かを感じ取ってくださるかもしれません。

この映画の取材で、撮影用に用意していただいた紅花の花束を抱きしめようとしたら、トゲが痛いんですよね。紅花は美しいけれど、近くに寄せたくても、そう簡単には抱かせてくれない気高さ、特別感がある。それなのに惹かれていく……そこにすごく意味がある、価値があるから、人は傷を作りながらも虜になっていくわけですよね、あらためて「すごい人よね」と思いました。(笑)

紅花摘み(C)映画「紅花の守人」製作委員会