小さな幸せを大事に
偶然ですが、六十の手習いで書道をたしなんでいた私の母が昨年亡くなって。ちょうどそのタイミングで携わったのがこの作品でした。しかも母と雪さんはどこか性格が似ていて、遺した品も「雪さんにピッタリ!」というものばかり。
そこで母のバッグや虫めがね、アクセサリーなどを映画の中で使うことにしたのです。今ごろ母も喜んでくれているかもしれません。
小さな幸せを大事にしたくなる、「こんな世界があったらいいな」と思える作品に出演することができて、本当によかった!
観た人に幸せを届けるのも、私たち役者の役目のひとつ。いい仕事を持ったなと、つくづく感じます。
ヘアメイク:
奥川哲也(dynamic)
スタイリング:
石田純子(office DUE)
衣装提供:ワンピース、ストール/ともにミハイルギニス アオヤマ イヤリング/アビステ ネックレス/DUE deux バングル、リング/ともにワンエーアールバイウノアエレ(ウノアエレ ジャパン) 靴/マッキントッシュ フィロソフィー(モーダ・クレア)
出典=『婦人公論』2022年5月号
宮本信子
女優
1945年北海道生まれ。63年、文学座附属演劇研究所に入る。夫である伊丹十三監督の映画に多数出演し、『マルサの女』ではシカゴ国際映画祭最優秀主演女優賞ほか多数受賞。近年の出演作に、映画『キネマの神様』、ドラマ『あまちゃん』『ひよっこ』などがある。芦田愛菜さんと出演する映画『メタモルフォーゼの縁側』は6月17日より全国公開予定