青春時代は過ぎるけど、青春の心は過ぎない

漫画家デビューといっても、4コマ漫画を4本、月にたった2ページの仕事、それが5年続いたところで『美しい十代』が廃刊となり、がっくり。もうお終いと思った『小さな恋のものがたり』。

5年間描き続けたのでごほうびとして、今まで描いた漫画を一冊の本にしてあげよう、ということで、単行本となったのでした。その時の嬉しさといったら。あちこちの本屋さんをめぐり、『小さな恋のものがたり』を探したのですが……。見当たらず、ようやく見つけた一冊を隅っこから人目につく平台にこっそり移しましたっけ。

その後、私の漫画を拾ってくださった下野部長が学研の子会社をまかせられることになり、私も『小恋』の命の恩人下野さんについて「立風書房」という小さな出版社へ。その頃からジワジワと私の漫画が売れ出したのです。

ごほうびに一冊、と出してもらった漫画でしたが、次々とあちこちに連載しながら2集3集と回を重ねてきて……アレヨアレヨという間に只今46集目。

私もアレヨアレヨという間に81歳! 

でも、『小さな恋のものがたり』を描く時は、17歳のチッチになりすまし、思い出の片思いが遠いところから一気に飛んできてくれます。私はこの漫画にずーっと片思いしているのでしょうね。

青春時代は過ぎるけど、青春の心は過ぎない。私の一生の宝ものです。