心地いい時間

どれほどの情熱と執念で、彼らはあれほどの大作を、しかも一枚のみならず何枚も何枚も、生涯をかけて描きあげたのだろうとひとりで想いを馳せている時間が、私にはとても、心地がいい。

『余白』(著:岸井ゆきの/NHK出版)

それは脚本を読むときも同じだ。この人はいったいどういう気持ちでこれを書いたのだろうと、物語とは別のところで想像してしまう。

実際、読んでいると「絶対このシーン書くの、めちゃくちゃ楽しかったでしょ」と笑ってしまうこともあるし、「きっとものすごく心を振り絞って書いたんだろうな、大丈夫かな」と心配になってしまうくらい、脚本家の熱がびしびしと伝わってくることもある。