「いったいどういう気持ちで描いていたんだろうかとついつい想像してしまう」(提供:『余白』より)

絵も自分だけで見るほうが気がラク

いつかものすごく美術の知識が豊富になって、「この光の陰影と屈折具合が……」なんて知的に語れるようになったらわからないけど、まあそんな日はまずやってこないだろうし、そもそも、だからといって馬鹿にするような友達は私のまわりにはひとりもいないのだけど、とにかく映画を見るのと同じで、絵も自分だけで見るほうが気がラクだし、没頭できる。

絵を描くのって、ものすごく孤独な作業だ。たとえばブリューゲルの絵は、有名な『バベルの塔』を見るとわかると思うのだけど、とにかく線が細かくて、密集して立ち並ぶ家や遠景に薄れる緑の大地、そのすべてをみっちり立体的に描きあげている。

「えっ、こんなところにも人影が?」ってくらい、細部を決しておろそかにしない。だからこそたちあがってくる絵の奥行きを感じながら、いったいどういう気持ちで描いていたんだろうかとついつい想像してしまう。

スーラも、好きな画家だ。これまた単純な感想しか言えないけれど、点描だけであれだけの絵を描くってすごすぎない!?と何度見ても驚いてしまう。