子供のパラサイトの原因は親にも
子供からさっさと卒業する。そして、子供に頼らないで最後までひとりで生きる覚悟をし、それを実現する計画を立てる。
同様に、子供も大人になったら最後まで自分の生活を自分で何とかしてもらう。面倒を見てもらう気もないけど、いつまでも保護してやる気もない。お互い大人なんだから、それぞれ頑張りましょうね。私は、そのように決めたのだ。
と、仰々しく書いたところで、パンダの話を聞いた。仲良く親子で暮らしている動物園のパンダは、1歳ちょっとになると親子が別々に暮らし、二度と一緒になることはないというのだ。ある日いきなり一人ぼっちになった子パンダは親を探す素振りを見せるが、親の方はのんびり竹だの笹だのを食べている。
何でも、歯が生えそろって子供が笹や竹を食べられるようになると、親の方が子供から離れていくのだそうだ。それでもくっついてくる甘えん坊の子供には時に攻撃という手段をとってまで追い払うとか。動物の世界では、子供がある程度成長すれば、親の方から離れて子供を自立させるのは普通の姿で、子供から離れていくのは人間だけらしいとも聞いた。
その子供が自分から親元を離れなくなったということは……親子でずっと一緒のままになる。子供がなかなか自立しないでパラサイトしているってことは、あたかも昨今の子供の側の問題のように言われているけれど、結局親の問題でもあったということのようだ。
※本稿は、『老いを楽しく手なずけよう――軽やかに生きる55のヒント』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『老いを楽しく手なずけよう――軽やかに生きる55のヒント』(著:吉永 みち子/中央公論新社)
老いの入り口からまっただ中へ、歩みを進める70代。からだと心、お金や暮らし、家族やペットなど気になることは多々あれど、焦らず気負わず、おおらかに、たくさん笑って過ごしたい。人生の終い方を考え、日々の楽しみを見出すヒント満載のエッセイ集。『老いの世も目線を変えれば面白い』を全面改稿し、書き下ろし数編を追加して再編集した最新エッセイ。