「昨今、親の方がやけに物分かりがよくなったというか、ほとんど干渉しなくなっていることのような気がする」(イラスト提供:イラストAC)

 

最後までひとりで生きる覚悟

つまり損がないし、うざくもないし、不自由でもない。これなら何も家を出て金銭的にヒーヒー言いながら、掃除洗濯自炊の労に耐える必要などまったくない。さらに、子供が成人する頃の親には、まだまだ経済的な余裕があるから、むしろ進んで援助したがる傾向すら見られる。

ま、親も子供と一緒にいたいし、子供は親と一緒でも十分に自由だしと、お互いの利害関係が一致しているうちはいいが、あっという間に月日は巡り、子供といえども世間的には中年に達し、親は老年に達する。

結婚しない人たちも多くなり、そこに不安定な雇用状況が重なると、今さら世の荒波に初めて身をさらしてひとり暮らしも難しいし、親も今さら年寄りだけでは心細いし……結局、共依存関係に陥って離れる機会を失ってしまう。

親だけでも大変な高齢時代を、いい中年になった子供をパラサイトさせたままで乗り切るのは容易じゃない。

子供が独立していれば、年金だって蓄えだって、基本的に親が計画的に使うことが出来る。が、ひとり増えれば、やはり出費は増える。よく「2人分も3人分も同じよ」と言う人がいるが、負担を考えないために自分に言い聞かせているようなもの。やはり2人と3人では違うのである。パラサイトさせている親と、独立させた親とでは、老後の楽しみの部分に相当差がでてくるものと思われる。