酒井 一方では、「健康のために、栄養バランスを考えて手作りしないと」というプレッシャーものしかかります。

コウ 医療関係者に聞いたのですが、「愛知県の謎」という面白い話がありまして。食と健康はもちろん密接に関わっています。でも、愛知県は野菜の摂取量が全国でも低いほうなのに、健康寿命は男女ともにトップクラス。

理由は諸説ありますが、「ジムに行くと飲食店の割引券をもらえる」「喫茶店が多く、おしゃべりする場がある」など、ストレス発散の機会が多いからではないかという説が有力らしいのです。

酒井 食生活より、むしろストレスに気をつけるほうが重要だと。

コウ はい。お母さんは毎日毎日、「健康的な食事を」と考えるストレスを抱え、お父さんは「健康にいいから」と、スーパーモデルが食べるようなヘルシー・スーパーフードみたいなものばかり食べていては、お互いストレスが溜まりますよね。(笑)

酒井 キヌアとか。(笑)

コウ 「家庭からいかにストレスをなくすか」という大命題を持つと、家事の新たな方向性が見えてくるのかもしれません。

酒井 洗いものを減らしたいと、お皿にご飯とおかずを一緒に盛るというコウさんのアイデアが大好きです。

コウ わが家の場合、そうすることで茶碗5個ぶんの洗いものが減って、ずいぶんラクになりますから。でも、すごく批判されましたね。「それくらいの家事はやれ」とか。(笑)

酒井 以前、スーパーでポテトサラダを買おうとした女性に、年配の男性が「それくらい家で作れ」と怒鳴りつけたという話が話題になりましたね。

コウ そういう発言をする人がいることに、食卓問題の根深さを痛感します。そもそも人としてあまりに失礼だし、スーパーのお惣菜も立派な食事です!