(イラスト:山崎のぶこ)
身近で頼りになり、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介してくれる「かかりつけ医」。20歳以上の男女を対象に行われた、2020年の厚生労働省のアンケートでは、かかりつけ医がいると回答した人は全体の55.2%。ありふれた日常のなかで突然、体に思いがけない異変が起きて病院に駆け込んだら――そこで悲喜劇が巻き起こるのです――

いきなりものすごい動悸が

私には2つの持病があります。1つは4年前から患う過敏性腸症候群。ある朝突然、便通が6、7回たてつづけに起こりましたが、腹痛はなく、前日の食事に心当たりもありません。4日後、再び同様の症状があり、最後は下痢状態に。

かかりつけ医に「どこか大きな病院を紹介してください」と頼みましたが、「もう少し様子を見ませんか」と、2種類の薬を1週間分処方されることに。私はそのとき、これは単なる便秘と下痢ではない、1週間では絶対に治らないと思っていました。案の定、症状は治まらず、下痢の後は全身に疲労感を覚え、心臓がバクバクする始末です。

発症から3ヵ月経ったとき、自己判断で、以前大腸ポリープの切除手術をしてもらった専門医に相談しました。大腸の内視鏡検査の結果は、異常なし。かかりつけ医に報告すると、そこでようやく過敏性腸症候群との診断が。

漢方薬を処方され、1ヵ月後に下痢は止まりましたが、手強い便秘と気持ち悪い便意には今も悩まされています。なぜか体重は減り、半年で8キロ減。

私は不整脈で心房細動という持病もありました。心房が1分間に300~500回痙攣し、そのために血液が澱み、血栓ができやすくなる。それが血流にのって脳に運ばれれば太い血管が詰まり、心原性脳塞栓症という脳梗塞になるリスクが普通の人の5倍あるとのこと。主な症状は動悸と息切れ。ですが、心房細動と医師に言われてから約14年、自覚症状はありませんでした。