最初の心臓発作で行った例の病院に救急搬送されたときのこと。院長に突然、鼻と口をふさがれ、「人間は1分間息をしなくても死ぬことはない。救急車を1回呼ぶと10万円かかるのだよ」と、叱責されました。
驚きましたが、その後、院長はかかりつけ医と心療内科医に丁寧な手紙を書いてくれたのです。荒療治だけれど心ある先生だと思います。心療内科の先生には「救急車を呼んではいけないというわけではありませんよ」と優しく言ってもらい、ほっとしました。
しかしその後、合併症のため、胸と背中の痛みに来る日も来る日も襲われるようになります。私は、「死ねば楽になるかな」と追い詰められ、どんな死に方なら苦痛なくきれいに実行できるかなどと考えるようになっていったのです。
かかりつけ医では時折点滴を受けていましたが、「あなたの場合は心療内科で治してもらうように」と言われました。思い詰めた私は、別の消化器内科を受診することにしたのです。
訪れた消化器内科では、「点滴に頼らず、口から普通に食事ができないとだめです」と諭されました。そこで、やわらかい米飯を主食に、好きなものを無理せず食べるように変えてみたところ、体に力が入るようになったのです。胸と背中の痛みが軽減。同時に、心が軽くなっていきました。もう一度、絵の教室に行きたいという希望も湧き、その後、快方に向かっています。
不整脈の心房細動は今のところ起きていません。もし再発することがあれば、何度も救急でお世話になったあの院長を頼ろうと思います。かかりつけ医からは新しいタイプの便秘薬を処方され、気持ち悪い便意は少しずつ改善されてきました。心療内科からの薬も、調整しながら飲んでいます。
かかりつけ医を軸に、その時々で判断しながらさまざまな病院と医師にお世話になってきましたが、選択肢は一つよりもいくつかあるほうが、より良質な治療を期待できると思うのです。