「認知症です」といわれても、絶望する必要はありません(写真提供:Photo AC)
人生100年時代、それは同時に、脳の老化によって生じる「認知症」に誰がなっても不思議ではない時代に突入したと言えます。医師で、健康にまつわる本を多く手掛けている和田秀樹さんは「85歳を過ぎた人の脳を見れば、全員に認知症の変化が起きており、誰もが“フツーに”認知症になりえる」と言います。そのため「認知症と診断された」ことを絶望していたら、この国が沈んでしまうとのことで――。

医師は体の変化として「認知症」を捉える

病院で「認知症です」と診断されても慌てないでください。医師は治療面と介護面から、認知症の診断をすぐに出します。

「認知症です」といわれても、絶望する必要はありません。医師にすれば、それは「骨の量が減って骨粗しょう症になっていますね」「筋肉が落ちて足腰が弱っていますね」といっているようなところもあるのです。

もちろん、深刻な場合もあります。そのときは、医師からしっかりとした説明があるでしょう。

ここでご理解いただきたいポイントは、医師のいう「認知症」の重さと、患者さんが受け止める「認知症」の重さは、少し異なるということです。

医師の多くは、患者さんが思うよりも「認知症」を老化現象の延長線にあるものと考えています。

確かにテストの結果を見て診断するわけですが、このくらいの点数なら年をとれば当たり前だよなと思う点でも診断基準の上では認知症となることを知っているのです。いい換えると、医師は基本的に一つの体の変化として「認知症」を捉えて診断していくのです。