いっそ、身体の一部を捨ててしまいたくなる

自覚症状としては、身体が重かった。いっそ、身体の一部を捨ててしまいたくなるくらいの感覚です。

言葉を話せないのは、自分の伝えたいことを伝えられず、非常にもどかしい思いをしました。

たとえばトイレに行きたくても看護師にうまく伝えられず、間に合わない事態も起こるわけです。オムツをしているのですが、便意をもよおしても自分の思うように伝えられないということが哀しくなったことも事実です。

ただリハビリを続けているとそういうことも少なくなり、人間の適応力はたいしたもんだなあと学びました。

※本稿は、『復活への底力 運命を受け入れ、前向きに生きる』(講談社現代新書)の一部を再編集したものです。


復活への底力 運命を受け入れ、前向きに生きる』(著:出口治明/講談社現代新書)

脳卒中を発症してから1年半。歩くことも話すことも困難な状況から、持ち前の楽観主義で落ち込むことがなく元気にリハビリ生活を送った出口さん。知的好奇心は衰えるどころか増すばかり。学長復職を目指す、講演を行う、再び本を執筆することを掲げ、自分を信じ闘病に励む稀有な姿勢と超人の思想は、私たちに生きる勇気を与えてくれる。本書には類書にない希望が満ち溢れている!