いっそ、身体の一部を捨ててしまいたくなる

自覚症状としては、身体が重かった。いっそ、身体の一部を捨ててしまいたくなるくらいの感覚です。

言葉を話せないのは、自分の伝えたいことを伝えられず、非常にもどかしい思いをしました。

たとえばトイレに行きたくても看護師にうまく伝えられず、間に合わない事態も起こるわけです。オムツをしているのですが、便意をもよおしても自分の思うように伝えられないということが哀しくなったことも事実です。

ただリハビリを続けているとそういうことも少なくなり、人間の適応力はたいしたもんだなあと学びました。

※本稿は、『復活への底力 運命を受け入れ、前向きに生きる』(講談社現代新書)の一部を再編集したものです。

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