2021年1月に脳卒中を発症。リハビリ生活を送ることになった出口さんでしたが、その人生観や死生観に変化はなかったそう(写真は2018年撮影。本社写真部)
「平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況」(厚生労働省)によれば、日本人の死因の4位が脳卒中となっています。脳卒中は、かつて日本人の死因の1位を占めていましたが、医療の進歩によって亡くなる患者の数は減少。しかし、患者の数そのものは変わらずに今も多いのが現状です。ライフネット生命保険株式会社創始者で、立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明さんも、2021年1月に脳卒中を発症。リハビリ生活を送ることになりました。しかし大病を患っても、出口さんの人生観や死生観に変化はなかったそうで――。

人間にはどうすることもできない運命がある

僕が楽観的でいられたのは、これまで学んで得た知識の力もあると思います。

ダーウィンの自然淘汰説は、生物に関する最高の理論だと僕は考えています。要するに、何が起こるかは誰にもわからないし、賢い者や強い者だけが生き残るわけではない。ただその場所の環境に適応した者が生き残る。

そこでは運と適応が大切で、運とは適当なときに適当な場所にいることです。

それは、人間にはどうすることもできない運命といえますが、その場所に居合わせたとき、どんな適応ができるか。すなわち、どんな意欲を持ってどんな世界にしたいと思って動くかは、自分の意志次第です。