世界は勝手に始まり勝手に終わる

言い方を変えれば、生物の一生は偶然の持つ要素が非常に大きいといえますが、人間は頭でっかちな動物なので、偶然をなかなか認めたくありません。人間の意志のほうが偶然の要素を上回ると思ってしまいたいのです。

しかし、そんなはずはありません。

『復活への底力 運命を受け入れ、前向きに生きる』(著:出口治明/講談社現代新書)

ベルギー生まれの人類学者、レヴィ=ストロースは、1955年に出版した名作『悲しき熱帯』で、次のように書いています。

「世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう」

世界の存在は人間の意志や認識によって認められたものではなく、世界は勝手に始まり勝手に終わるものだとレヴィ=ストロースは考えていたのです。

実際、地球の生命は星のかけらから誕生し、やがて地球の水が涸れたときに絶滅すると、すでに解明されています。