まずは傷があることに気づくこと
私の人生に、良くも悪くもヒーローはいなかった。恋愛をしない人間なのでもちろん理解ある彼くんだっていない。
だからドラマ『Nのために』の成瀬くんみたいに、どうしようもない傷や孤独を共有できる相手は現れなかったけど、アルテイシアさんをはじめ手を差し伸べてくれるお姉さん達に何度も救われた。
回復のプロセスに必要な要素は恋愛じゃない。専門家や福祉、加えて友人や先輩などの恒常的な人間関係だ。
だからどうか、「理解ある彼くん」に出会えていない人は悲観しないでほしい。
それは必要十分条件じゃない。理解ある彼くんがいなくたって私達は回復できるし、幸せになるべきなのだ。
今回毒親サバイバーの大先輩であるアルテイシアさんとの対話で、自分がいかに親によって傷つけられてきたか、膿だらけで血がしたたり落ちる傷をみないようにして踏ん張ってきたかに気づくことができた。
今回含め、今までで出会ってきた毒親サバイバーはみんな「自分だけでは(被害に)気づけない」と口を揃える。職場や普段の友人関係では体験を共有する機会もなかなかないと思うので、ぜひすでにあるコミュニティやイベントに参加してみたり、毒親に関する本を1冊でも読んでみてほしい。
傷をケアするにしても、「傷がある」ことに気づかないことにはどうにもならない。
そのきっかけが、きっとそこにある。
傷だらけの同志たちよ、地の底を這うような苦しみに耐えてきた分、みんなで幸せになろう。
イベントが気になった方は、11月10日までアーカイブを視聴できるチケットもあるのでぜひ。
貧困・毒親・ジェンダーについて語り尽くす濃厚な120分!11月10日までアーカイブをご視聴できます!
「ヒオカ×柚木麻子「分断にお湯をかけたら溶けるかな」
トークショー」
開催場所:本屋B&B
世田谷区代田2-36-15 BONUS TRACK 2F
11月10日木曜日20時〜
寒くなってきたこの季節、分断にお湯をぶっかけるような熱いトークをお届けします
『死にそうだけど生きてます』(著:ヒオカ/CCCメディアハウス)
『とりあえずお湯わかせ』(著:柚木麻子/NHK出版)W刊行記念