コロナ禍で「お客さんが来なくなった」ことの意味
コロナや物価高で「大変だ、大変だ」と言いますが、突きつめて考えると、お客さんが店を選ぶ基準が厳しくなっただけのことです。つまり、絶対に必要だという店には足を運ぶわけです。
自分の生活に必要なものは買うし、食べにも行く。コロナ禍でお客さんが来なくなった店は、「どうしても行きたい、どうしてもあれを食べたい」というものを売ってこなかったということです。だから、何がお客さんに絶対必要なものなのか、商品を見直すことも必要です。
だからこそチャンスです。
飲食が、お客さんにとって、社会にとって、絶対に必要なものになり、産業化に向けてまっしぐらに突き進むチャンスです。いつの時代も、人間はそうやって生き延びてきたんです。試練を乗り越えなければ、本当に成長することはできません。
食はすごいんです。人々にとって絶対必要なものであり、かつ、人々を幸せにします。だから、たくさんの人にこの業界に飛び込んできてほしいし、この業界をまともな産業にしたい。その想いは加藤さんもぼくも同じです。
※本稿は、『「おいしい」を経済に変えた男たち』(TAC出版)の一部を再編集したものです。
『「おいしい」を経済に変えた男たち』(著:加藤一隆/TAC出版)
非常で残酷な資本主義を生き抜きたいなら、この創業者にたずねよ!
いまや300万人が働き、市場規模30兆円を誇る外食産業。それは金融などのように「護送船団方式」で守られた産業とは違い、誰にも守られず、生存競争に明け暮れた剥き出しの資本主義そのものだった! 歴史を紐解けば戦後直後の料飲禁止令、農産物の輸入規制と自由化の波、さらには食と安全をめぐるさまざまな問題や、「ブラック」批判など、数々の苦境を乗り越え、生き延びてきたのだ。そんな、これまで戦後日本経済史では見向きもされなかった、「おいしい」を経済にしてきた「50年続く飲食チェーン」を築き上げた6人の異端の外食創業者たちの情熱と苦闘、そして経営術に、長年業界団体で数々の苦難に遭遇してきた業界の生き証人が迫る。