永六輔さんに教えてもらったこと
そこから「取材」ということを意識するようになり、その大切さを教えられたのが作家の永六輔さんでした。
この年の10月から、TBSラジオのパーソナリティを担当することになり、ラジオ局で永六輔さんとお会いする機会が増えました。私は永さんのラジオ番組『土曜ワイド』が大好きで、あるときずっと不思議に感じていたことを聞いてみたのです。
「永さんのラジオを聴いていると、街の匂いが伝わってくるし、風景も立体的に浮かびあがってきます。どうしてそれが伝わるのですか?」
すると永さんは笑いながら、こう言われました。
「僕は会いたいと思う人がいたら、遠くでも会いに行っちゃう。肌で感じたことをただしゃべっているだけですよ」
私もスポーツの解説で選手のことをもっともっと伝えたいから、会いたい人がいたらまずは会いに行ってみよう―その気持ちが取材の原点になっています。