トレーニング技術の進歩を肌で感じて

そんなときに頼まれたのが、1993年8月にドイツで開かれるシュツットガルト世界選手権のマラソン解説でした。

日本代表として出場する松野明美さん、浅利純子さん、安部友恵さんの三人はいずれもメダルが期待される選手。この大会でテレビ中継の解説を務めることになったのです。

さっそく三人に取材の依頼をしたところ、松野さんと浅利さんはアメリカで高地合宿に入っており、安部さんは北海道で走り込んでいると聞きました。

そこで北海道を訪れ、安部さんの40キロ走を見学し、指導する旭化成の宗茂監督に話を聞きました。その後、熊本のニコニコドーの合宿所では、高地合宿から帰った松野さんに会いました。

私の現役時代は、真夏のレース前には暑いところで走って体を慣らすという対策で、かえって調整に失敗してしまうという苦い経験をしました。それだけにスポーツ科学にもとづくトレーニング技術の進歩を肌で感じられたのです。