増田さんの解説にも金メダル!

世界選手権のレース当日は日本テレビの芦沢俊美さんという優秀なアナウンサーに恵まれて、私はいっぱいしゃべりました。浅利さんが金メダルを獲って、ゴールの瞬間に立ち合えたことも感無量でした。

すると日本へ帰ってきたら、友だちの間で大騒ぎになっていたのです。レース翌日、テレビの情報番組で映画監督の大島渚さんが「浅利純子さん、金メダル。

増田明美さんの解説も金メダル」と褒めてくださったそうで、私も嬉しくなっちゃって。現役時代はオリンピックで失敗したり、レースで途中棄権したり、辛い思い出ばかり。そんな私が引退後に初めて評価されたのですから、もう天にも昇るような気持ちでした。

さらに嬉しかったのは、永六輔さんが書かれた新聞のコラムでした。

<増田さんの解説にも金メダル!>

私にとっては、あのときが解説者として本当のスタートだった気がします。

※本稿は、『調べて、伝えて、近づいて-思いを届けるレッスン』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。


調べて、伝えて、近づいて-思いを届けるレッスン』(著:増田明美/中公新書ラクレ)

マラソン・駅伝中継での、選手の人柄まで伝わる解説に定評がある増田明美さん。一度聞いたら忘れられない、あの「こまかすぎる」名解説はいかにして生まれるのか。相手との信頼関係の築き方、情報収集の極意、選手につけるニックネームに込めた思いまで――その舞台裏を初公開。さらには、20年以上続けている大阪芸術大学での講義や、朝ドラ『ひよっこ』のナレーション、『読売新聞』「人生案内」回答者など、幅広い仕事で培ったコミュニケーション術に迫る。