世間に合わせると面白くなくなる

それにさ、と西条くんは続ける。

「当時、ガムシャラにネタを作ってテレビに出ようとしていた時は、ほとんどのネタ番組に呼んでもらってた。『エンタの神様』も『爆笑レッドカーペット』も。他にもたくさん」
「そうだったね」

「この番組には、こんなネタが合うだろうとか、色々分析してオーディションに行ったら、全部受かって」
「凄いね、それできるの」

「だから、売れなかったんだと、思う」
「……」

「青木さん、合わせてなかったでしょ?」
「合わせる技術ないよ!」

「僕は、自分の面白いと思うことより、分析して合わせていった。それが結果、売れなかった原因だと思う」

西条くんの言ってることは、とてもよく理解ができた。わたしも、そうだ。最初は自分だけが感じる面白い本当の言葉で発言していた。それが、ウケた。そのうち、わたしは、わたしから湧き出ることというより、世間と合わせるようになっていった。世間は何に腹立たしく思っているのか、世間はわたしが何を言うと共感するのか。分析し合わせた。そうすると、面白くなくなっていき、世間とズレていったような気がする。合わせてあげたのに。離れていった、世間の皆さん。