老老介護のつらさ

通常のごはんづくり、洗濯などの家事に加えて、夫の食事の介助や体拭き。ストーマ交換の手伝いや、ストーマから水分が漏れて周囲が汚れれば、パジャマを着替えさせる。夜間だってストーマの交換が必要になる時もある。オムツ交換もあります。もう自分の時間なんてないです。

娘も亡くなる3か月前から手伝ってくれるようになったものの、それでも仕事を忙しくしていて、私と主人、ほぼ二人きりの生活で朝から晩までマンツーマンで。

介護の方にお願いして、自転車で買い物に出かける。2時間経たずに戻っても、主人から「遅いなあ! どこ行ってきたんだよ。なんで早く帰ってこないんだよ!」と怒られる。家の中には訪問医や訪問看護師の方、ヘルパーさん、お手伝いさんなどいろんな方が出入りして、自分の家であって家でないような感じでした。安らげる時間も場所もなく、ただただ疲れる日々でした。

トイレに連れていってあげようとして、フローリングで二人して転び、介護の方に緊急で我が家に駆けつけてもらうこともありました。

よく介護疲れで殺人事件が起きたりするでしょう。ああいう気持ち、よくわかるんです。患者も介護者もとにかく余裕がない。よく本やドラマではかっこよく描かれていますが、「看取る」ことがどれほど大変か……特に家族の人数が少なくて、二人とも高齢で。だって私は80歳を超えているんですよ。

亡くなる1か月前は認知症のような症状もありました。ごはんを食べたばかりなのに、「食っていない」と言う。訪問の先生に相談すると、「もう日にちの問題なので好きなように食べさせてあげてください」と言われました。

様子がおかしいと思えば、時折しっかりして、「明日、太陽が見られるかな」と弱気な声でつぶやくんです。私が「やっぱり生きていたいのね?」と聞くと、主人は「生きていたい」とはっきり答えました。