結果的に自宅で看取れてよかった
後になればあっという間といえますが、渦中にいた頃の7年7か月は長かった。一日一日が良くなっていけば楽しみがあるからいいけれど、看取りは命がどんどん縮まっていくから。それを見るのはつらかった。
ただね、本人がどうしても家に帰りたいと言って、自分のおうちで命尽きたのは良かったことだったと思えるようになりました。
同じように大腸がんだった兄は最期まで苦しみ、私がお見舞いに行くと、「死にたい、命を絶ちたい」と言っていました。
兄嫁はその姿を見るのが耐えられなかったようで、「がんばるのよ」と私が言うと、「助かるものならいいけれど、もうダメなんだから勇気づけるなんてしないでください。がんばりすぎてかわいそうなんです」と叱られました。
それに比べて主人は痛がったり苦しんだりすることがありませんでした。
ただ一つだけ、毎朝「どこか痛い?」と聞くと、人工肛門の「貼るところが痛い」って。7年間同じところにパウチを貼っているからただれてしまって……クリームをつけるとパウチがずれてしまうし、クリームを塗ってパウダーをはたいて、ケアしていました。