支出にある「デイサービス」とは通所介護で、施設に通って入浴や食事、趣味などの活動、運動、レクリエーションなどを行う。「ショートステイ」は、施設に泊まる短期宿泊サービスで、介護する家族の休息が主な目的。このほかリハビリと日常生活の自立支援が目的の「デイケア」もある。

デイサービスとデイケアは日中を施設で過ごすのが基本で、施設ごとの雰囲気や特徴も異なる。子育てに例えると、自分の生活スタイルや価値観、子どもの性格にあった幼稚園や保育園を親が選び、子どもを通わせるようなもの。介護もそれと同じように介護者やその家族の生活に合わせてデイサービス先を選択する。

のぶよさんは今、デイサービスに週2回通い、ショートステイを毎月1週間程度利用している、と扶美さんが説明する。

「2019年秋から、母の家に私も同居しています。母がショートステイに行っている間は、一か月のうちで唯一、解放感がある時ですね。でもその1週間で布団を干したり、掃除をしたりするので忙しいのですけれど……。普段は私も仕事をしていますし、用事が多いですから、母は家に一人でいるかデイサービスに。入浴もデイサービスでしてきてくれるので助かります。ただ要介護度があがるにつれて、利用料が高くなるんです。母は昨年、要介護2から3にあがりました。最近は月数千円の増額です」

 

友達のような関係性

私はのぶよさんに「いま楽しみなことはなんですか?」と尋ねた。

すると、デイサービスで取り組んだという塗り絵を見せてくれた。鮮やかにきれいに塗られている。「きれいですね。すごいですね」と褒めると、満面の笑みでうなずく。その表情が素敵でかわいくて、これはどこにいっても愛される人だろうなと思った。人見知りをしないのだ。

それは認知症の発症と関係なく、もともとの性格なのだという。「母は"あんたの友達は私の友達"みたいな感じなんです」と扶美さんが笑う。

「よく食べるし、よく寝るし、おしっこやお通じもすごくいい。あと新聞を読んだり、BS放送や韓国ドラマを見たりするのも大好きなんです」

本当によく食べる人なのだ。私も食事を共にしたが、冒頭の冷奴だけでなく、宅配の冷凍おかずセット、そして炊飯器で炊いたごはんをぺろりと平らげていた。