武田さんがアメリカで活動する際のアトリエの外観(提供◎武田さん)

将来の心配をするより、今この瞬間を楽しもう

僕がADHDだと公にして以来、家族にADHDのお子さんがいらっしゃる方から、相談を受けるようになりました。僕がアドバイスできることはひとつだけ。とにかく、今、我が子と接している瞬間を大切にして、その時間を愛しんでほしいということです。

だって、ADHDであるかどうかに関わらず、自分の子どもの将来がどうなるかなんて誰にもわかりません。たとえ東大に行ったって、卒業後に貧乏になることだってあるでしょう。子どもが親の理想通りに育つなんて絶対無理な話だし、今、社会がこれだけ急激に変化している中で、親の理想と子どもの理想が同じなんていうこともあり得ません。

つまり、今、目の間にいる我が子のありのままを認めずに、「違う何か」にしようとしていることが、自分や子どもを苦しめる原因になっているんじゃないでしょうか。そうじゃなく、今現在の親子の関係が楽しさに満ちていれば、将来もずっとハッピーでいられるのだと思います。「今の波動」が「未来の波動」をつくるから。

書道家になった当初は、「俺は書道で世界平和を目指す!」なんて息巻いていましたが、今では、世界平和より、夫婦や親子の関係を幸せにするほうがよっぽど大切なことだと気がつきました。世界平和を目指すなら、まずは足元の家族を幸せに。僕という存在をポジティブに受け入れてくれた家族に心から感謝して、これからも創作活動に励んでいきたいと思っています。