貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。現在もアルバイトを続けながら、「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。ヒオカさんの父は定職に就くことも、人と関係を築くこともできなかったそうで、苦しんでいる姿を見るたび、胸が痛かったという。第26回は「友人との出会いについて」です。
「人生詰んだ」状態
「ヒオカちゃんはさ、出会った時から何も変わってないよ」
初の著書の刊行イベントに来てくれた友人(仮にAさんとする)はそう言った。
その友人と出会ったのは2年と少し前。執筆業を始めたか始める前かくらいの頃で、その時の私は、職なし家なし(定職に就けず、シェアハウスを転々としたり、友人宅に居候していたりした)。
転職活動ではボロボロだった。
「あなたには市場価値はないんですよ」
「土俵にすらたってないんです」
「書き手になりたい?趣味でやってはどうですか?」
キャリアアドバイザーや転職エージェントからはそんなことを言われ、面接も惨敗。
受かるのは超が付くブラック企業ばかりだった。
劣悪なシェアハウスの住環境で体調を崩し入院。口座の残高はすっからかんになり、まさに「人生詰んだ」状態だった。