点と点が繋がった

何人もの人に間接的に何度も言われた。「あなたには価値がない」
何度も可能性を否定された。「ライター?無理だよそんなの」(そう言った人は記事を一度も読んでくれなかった)

でもAさんは言った。「あの時から、野心が見えてた。かっこよかったよ。周りに見る目がなかっただけで、ヒオカちゃんはずっと正解だったんだよ」

その言葉を聞いて、面食らった。
自分はボロ雑巾でしかない、と思い込んでいた。
でも、Aさんやあの時私に対等に接してくれた人たちは、私自身でもわからない、外面や表層だけではない何かを見ていてくれたのかもしれない。

思い返せば、今でも付き合いのある当時からの友人は口をそろえて言っていた。
「なんかヒオカちゃんは大丈夫な気がするんだよね」
仕事も決まらない、住居だって安定しない。こんなに大変なのにどこが「大丈夫そう」なの?

戸惑ったし、寂しくもあった。
でも、「大丈夫そう」「なんか持ってる」はたしかに、地元にいた時から親友の親御さんや、取材を受けた編集者さん数人からも言われた言葉だ。
渦中にいた時はその言葉の意味がわからなかったが、イベント後のAさんの言葉で、点と点が繋がった気がした。

最近、友人カメラマンと作品撮りをした時のもの

私は、肩書きや経歴で人を判断しない、利害で付き合ったり切り捨てたりしない、そんな人たちに生かされてきた。
だから私も、そんな人間でありたい、いや、なりたいと思う。
改めてそんなことを思う出来事だった。

前回「ヒオカ「人生ただ1冊の〈デビュー作〉ができた! 憧れの先輩、柚木麻子さんとのトークショーは〈分断にお湯をかけたら溶けるかな〉」はこちら