バックグラウンドは強み

Aさんは、私の生い立ちを聞くと、僕たちには経験したことのない世界で、そういうバックグラウンドは強みだ、というようなことを言った。

これを文字だけで書くと、貧困育ちをそんな風に言うなんてと思われるかもしれないけれど、私はそう言われた時、腫れ物みたいに扱われなかったことへの純粋な嬉しさや、隠し続けなくて、負い目に感じなくていいんだという発見で、すごく驚いた。それはとてもいい意味で。

同じ言葉を言うにしても、その人の心根というのは伝わるものだ。
Aさんの人を大切にし、敬意を持って接する、そしてとても優しい、そんな人柄あってこそ、私の生い立ちが強みだという言葉がまっすぐ届き、心境の変化につながったのだ。

今実際書き手になって思う。
人と違うということは、他の人には絶対に経験できないことをしているということで、他の人には見えない景色を知っているということなのだ。
それは確かに強みなのだ。

もちろん、普通からはみ出ることで避けられない困難はあまりに大きいし、苦しい。
でも、生い立ちは変えられない。
その生い立ちを負い目に感じるのは苦しい。
だから、Aさんの言葉は、私に前を向かせてくれた。