平均月収15万〜16万円、同額のパソコン購入が痛手

大学の先生といっても、教授もいれば、講師もいます。

『年収443万円―安すぎる国の絶望的な生活』 (著:小林美希/講談社現代新書)

講師のなかでも、専任講師であればフルタイムで雇用期間の定めがないのでいいですが、私は非常勤講師。私はちょうど「ポストドクター」問題の世代に当たります。1990年代に大学院の定員が大幅に増えたことで博士課程に進む人も増えたのに就職先が限られ、キャリアパスが描けないまま不安定な立場に置かれるという問題です。

非常勤講師だと、授業単位での仕事になるので、「毎週何曜日の何時限目のコマで」という単位で働きます。今は大学の多くが2学期制なので、4月からの春学期と、9月からの秋学期それぞれで何コマ授業を持てるかにかかっています。

大学の授業は1コマの報酬がせいぜい月3万2000円くらい。1コマ2万円という条件の悪い仕事もあるので、3万円を超えたらマシなんです。それをいくつもかけもって、やっと月収いくらかになる。

今年の春学期の4月から7月までの平均月収は15万~16万円。1年前の年収は235万円でした。今年は持っていた授業が2コマ減ってしまうので痛手が大きくて。2コマなくなることで月6万円、年収で50万円から70万円減ってしまいます。

今年度、専門学校で2ヵ月間の集中講座の仕事があったことで入る32万円は、自分にとっては、とても大きいんですよね。

新型コロナウイルスの感染拡大で授業がオンライン講義になると、負担が増しました。対面授業ならなくてもいいレジメの作成や動画の収録、学生からの質問にメールで答える。普段の2~3倍の仕事量になり、「サービス残業」が増えました。

パソコンだって自前です。非常勤講師にはオンライン授業に対する大学からの補填はまったくないんです。パソコンの使いすぎで壊れてしまって自腹で新しいものを購入するしかなく、15万~16万円の出費は痛すぎました。